「日本のシャインマスカットは簡単に輸出できないの?」「なぜ海外で勝手に作られているの?」
日本で生まれたシャインマスカットが、いまや海外で「現地産」として販売されています。
いったいなぜ、こんなことが起きたのか。
その理由には、日本の農業政策と知的財産の“落とし穴”がありました。
一緒に見ていきましょう!
Contents
シャインマスカットの海外流出がなぜ起きた?
輸出できない理由①性善説的な油断
日本で開発された高級ぶどう「シャインマスカット」が、いま中国や韓国などで大量に栽培されています。
その理由は、海外で品種登録をしていなかったことにありました。
日本国内ではしっかり守られていましたが、海外では「登録なし=自由に栽培できる」状態…。
日本の品種が無断で増殖・販売され、安価な“コピー品”が出回る結果となりました。
その背景には「海外もきっと理解してくれるだろう」という、性善説的な油断があったとも言われています。
輸出できない理由②厳しい植物検疫制度
海外に売りたくても、実は日本の農家には大きな壁があります。
その一つが厳しい植物検疫制度です。
輸出先の国ごとに検査基準が違い、害虫や病気のリスクを完全に除かなければなりません。
特に欧州や北米は基準が厳しく、検査や輸送にかかるコストが大きいのです。
一方、海外で無断に栽培された果実は、現地産扱いになるため検疫不要。
まじめに手続きをする日本の農家が、価格競争で不利になるという構図が生まれています。
輸出できない理由③日本のブランド価値の低下
海外で“偽物”が出回ると、日本のブランド価値は下がります。
「安くても同じ味」と思われると、正規品のプレミアム感が薄れてしまうからです。
実際、中国産のシャインマスカットは日本の3分の1ほどの価格で販売されています(!)
その結果、日本の農家の収益が圧迫され、国内の栽培意欲も低下しかねません。
ブランド果実を守るには、単に「作る」だけでなく、「守る」仕組みが必要なのです。
政府や農家でできる解決策は?
リスクを取って知的財産を守る
政府は現在、海外での品種登録やライセンス制度の整備を進めています。
将来的には、海外農家が日本にライセンス料を支払い、正規に栽培できる仕組みを作る予定です。
ただし、これが進むと海外生産が合法化されるため、国内農家の競争がさらに激化するリスクもあります。
根本的な解決には、国だけでなく、農家自身が早期に知的財産を守る行動を取ることが大切です。
日本産ブランドを高める
この問題は、単なる「果物のコピー被害」ではありません。
日本の技術や努力が世界でどう扱われるか、という知的財産の意識に直結しています。
消費者も「どこ産のものを選ぶか」で、ブランドを支えることができます。
安さを取るか、本物を選ぶか──
その選択が、日本の農業の未来を左右するのです。
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