夏の甲子園にて「握手を拒否したのでは」「暴力事件*が原因ではないか」と噂が広まっています。
*2025年1月に2年生部員が1年生部員に対して暴力を振るって日本高等学校野球連盟から厳重注意を受けた。
これにより、ネット上には「広陵高校いじめ加害者の顔写真・実名特定」情報が溢れていますが、その99%は嘘でした。しかし加害者を「特定」したつもりが、実は無関係な生徒を晒していたケースが続出しています。
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広陵高校いじめ加害者の名前と顔が晒されない3つの理由!99%がデマ情報の現実
広陵高校の野球部いじめ事件で検索すれば、無数の「加害者特定」情報が出てくる。
でも、その情報を鵜呑みにして拡散していませんか?過去にいじめを受けた経験があるなら、「加害者を許せない」という気持ちは痛いほどわかります。
だけど、間違った情報で無関係な人を傷つけてしまったら、今度はあなたが加害者になってしまうかもしれません。
①【最重要】公式発表では加害者の個人情報は一切公開されていない
広陵高校、高野連、警察のすべての公的機関が加害者の実名や顔写真を公表していない現実を知っているだろうか。
マスコミも未成年者保護の観点から実名報道は控えており、NHKをはじめとする主要メディアでも加害者の顔や名前は一切放送されていない。
つまり、ネット上で拡散されている「加害者の顔写真」「実名」と称される情報は、すべて非公式かつ未確認の情報ということになる。
②SNS上の「特定情報」は誤情報・デマの可能性
現在、Twitter(X)や5ちゃんねる、インスタグラムなどで「広陵高校 加害者 顔」「広陵高校 いじめ 名前」といった検索で出てくる情報の大半には深刻な問題がある。
無関係な生徒の写真が使われていたり、卒業生や他校生徒の画像が混在していたりするケースが多発している。
さらに、推測や憶測に基づいた「特定作業」や意図的なデマ・釣り投稿も横行しているのが現状だ。
スマイリーキクチ氏も警告しているように、こうした情報の拡散は名誉毀損にあたる可能性が高い…。
③学校・高野連の対応への批判は正当だが、個人攻撃は別問題
広陵高校の校長が高野連副会長という立場にありながら、事件の処理が「厳重注意」程度で済まされたことへの批判は理解できる。甲子園出場を続けることへの疑問も当然だろう。
いじめを受けた経験があるなら、「なぜ加害者が普通に野球を続けられるのか」という怒りも感じるはずだ。
しかし、制度批判と個人攻撃は全く別の問題である。組織の対応を批判することと、未成年者の個人情報を晒すことは次元が違う。
「正義感」が生む新たな被害者—誰でも加害者になりうる現実
過去にいじめを受けた人ほど、加害者に対する怒りは強い。
「同じ苦しみを味わわせたい」「社会的制裁を受けるべき」という感情も理解できる。
だが、間違った情報を拡散することで、無関係な生徒や家族を巻き込む二次被害が発生している現実がある。
誤った特定により関係ない生徒が誹謗中傷を受けたり、家族や兄弟姉妹まで被害が及んだり、学校全体への風評被害につながる場合もあります…。
特に、未成年者の個人情報拡散は、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)、プライバシー侵害、未成年者保護法違反などの罪に問われる可能性がある。
「正義のため」と思っていても、法的には加害行為とみなされるリスクがあることを理解すべきだろう。
いじめ問題解決のための建設的なアプローチとは
いじめを根絶したいという気持ちは正しい。だが、個人攻撃ではなく、システムの問題として向き合うことが重要だ。
学校の隠蔽体質への批判や高野連の処分基準の見直し要求、いじめ防止制度の強化要求、被害者支援システムの充実こそが、本当の解決につながるのではないだろうか。
【まとめ】感情と事実を分けて考える
広陵高校いじめ事件の加害者に対する怒りは理解できる。特に、過去に同じような被害を受けた人なら、許せない気持ちになるのは当然だ。
しかし、ネット上の「特定情報」は99%がデマや推測であり、公的機関からの正式発表は一切ない。
感情に流されて間違った情報を拡散することで新たな被害者を生み出してしまったら、結果的にいじめの連鎖を断ち切ることはできない。
本当にいじめをなくしたいなら、個人攻撃ではなく制度改革に向けた建設的な議論こそが必要なのではないだろうか。